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2014.07.07 より

ゲル中 蓚酸鉄の結晶 -ゲルについて- [ゲル中結晶]

このブログで“ゲル”と言っているものは、化学になじんだ人には常識だが、一般にはぼんやりした認識かも知れない。

“ゲル”という語感からも直感できるが、これは ゲル=gel 、ゼラチン=gel・a・tin だからかもしれない。

“ゲル”を辞典ふうに解説するとより分かりにくいため、ここは“ゼリー”を思い浮かべた方がイメージしやすい。

こんにゃくゼリー・・・うんうん、羊羹でもいい。

市販のゼラチンなら3~5%ぐらいで、寒天なら1%もあれば固いゼリーが作れる。

大部分は水なのに、全体が流動性のない固形になる。

単に粘度が高くなって、流れにくくなったわけではない。

このゼリー、微視的にはどうなっているかというと、ゼリー形成物質(ゼラチン、寒天など)が網の目状の骨格を作っており、その隙間に水分子が居るという構造なのだ。

ここで水は、物を溶かすとかの、液体の水としての性質はそのままながら、比重差等による対流とかの流動はできない。

運動は、基本的にちょこまかした分子運動のみである。

そこでこの水に溶けた物質も分子運動のみの超スローな拡散のみとなるのだ。

このブログで取り上げている難溶性物質の結晶も、通常の水溶液であれば、2種の物質の出会いとともに瞬時に形成し、微細な粒子の沈殿を形成するだけだろう。

このゲル中での超スローな反応により、大きくて整った結晶が形成される(可能性がある)のだ。

まさに“スローライフ”だな。



さて、蓚酸鉄の結晶

試験管の状態は

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下部の褐色は塩化鉄(Ⅲ)に由来する水酸化鉄(Ⅲ)かもしれない。

ゲル層の上部、黄緑の部分は蓚酸に還元されたⅡ価鉄イオンか?

で、ミカン色の結晶は何?

色から見ればⅢ価塩にも見えるが、辞典によるとⅢ価塩は水に溶けるそうだ。

やはり、周辺はⅡ価だし、Ⅱ価塩のようだ。


結晶の写真

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棒状のものや十字状のもの、ランダムのように見えて形状はいずれも類似していて、何らかの法則性はあるようだ。

拡大してみるとさらに層状構造がある。

これ以上は突っ込みようがない。

素人はここで退却[もうやだ~(悲しい顔)]


ちなみにここでの“ゲル”は珪酸ゲル、珪酸ナトリウム(水ガラス)の水溶液を酸で中和するとゲルになる。

ゼラチンや寒天と違って無機物であり、ちょっと安定。

だが、透明性が寒天レベルで、ゼラチンには劣るのがちょっと難。
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