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2014.07.07 より
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リーゼガング現象( Liesegang phenomenon) その2-2 [リーゼガング現象]

昨日から今朝に掛けて、風がすごい。

そして、また雪が積もっている。

家が高いところにあるので、よけいそうだと思うが、まあ、今年の冬は毎週毎週、風やら雪やらが多い。


昨日載せたリーゼガング環の写真。

内容は同じだが、計測値を付けたものを載せる。

P2025307レベルLine2縮.jpg


次に計算結果。

0.1MーMgCl2.jpg

1.0M-MgCl2.jpg


0.1M塩化マグネシウムの例では
⊿Xn/Xn の値がほぼ一定に見える。
⊿Xn+1/⊿Xn の値は最後の値が少しずれている。

1.0M塩化マグネシウムの例では
⊿Xn/Xn の値は第1層と2層の値が同じだが、第3層は大きくずれている
⊿Xn+1/⊿Xn の値は2つだけだが異なっている。

二つの例でいえることは層の出現位置は等比級数的なものを目指してはいるようだが、最下層の層はやや異常値といえるようだ。

試験管が底で行き止まりになっていることが影響しているのかもしれない。

リーゼガング現象( Liesegang phenomenon) その2 [リーゼガング現象]

リーゼガング現象の総説を読むと、反応して難溶性物質を生成する物質A,Bであれば、広範な物質でこの現象が起きるように感じられる。

しかし、実際やってみるとそう単純ではないようである。

もちろん、くだんの総説にそう書いてあるわけではないが、こういう条件では起きないとも書いてない。。

また、リーゼガング現象という現象の定義も曖昧である。

リーゼガングさんが発見した現象はクロム酸カリウムと硝酸銀の反応である。

これについては当方はやっていないが、リーゼガング現象に着目した研究ではダントツに一番の系だろうと思う。

これは沈殿の縞模様が等比級数的間隔で発生するもので、この現象の典型的例である。

これに近い結果が得られた系として、当方では、塩化カルシウムと第2リン酸ナトリウム
をやって、既に載せた。

総説ではこの間隔にならない例外例として、塩化水銀とヨウ化カリウムの例を挙げているが、実際やってみると他の複数物質でもこの例外現象にぶち当たる。

ではこのような例はリーゼガング現象ではないとしているのかというと、どうもそれがはっきりしない。

縞模様を生じない例はおいとくとして、縞模様を生じる例を大まかに分類すると

① 理論的考察がなされている沈殿の間隔が等比級数になっているもの。
② 沈殿の間隔が等比級数ではないが、一定の法則に従っているように見えるもの。
③ 沈殿の縞模様はできるが、その間隔は一見ランダムのように見えるもの。

となる。

よく分からないのに長々と書くと自分でもだんだん混乱してしまうので、今日はこの辺で終わる。

それでは①の例として、リン酸カルシウムやクロム酸銀以外の系を載せる。

P2025304レベル2・トリtext縮.jpg


塩化マグネシウムを含むゲルに濃アンモニア水を拡散させ、水酸化マグネシウムの沈殿を生じさせる系である。

期間はゼラチンゲルの二つが約10日間。
寒天ゲルのものが2ヶ月と20日間である。

寒天ゲルについては最初の頃、ある法則に基づいているようだったが、最後の沈殿にいたる段階で不可解な現象となった。

ゼラチンゲルのものについては法則的だと思うので、次に計測結果を載せる。

リーゼガング現象とは [リーゼガング現象]

リーゼガング現象とは一体どういう範囲を指すのだろう。

そもそもメカニズムが確定していないのだから、こうこうこういう現象を「リーゼガング現象」という てなことがいえないのか。

先に載せた志田正二さんの総説には

“ 電解質を含むゲルに、これと反応して沈殿を生ずる如き電解質の溶液を接触せしめるときに後者はゲル中に拡散し縷々沈殿の周期的構造を示す。”

とある。

これでは非常に広い。

まるで秘密保護法のようだ。(蛇足)

縞模様になればリーゼガング現象ということになる。

だから昨日載せた「理論」など全く無関係か、関係しても一部に過ぎない現象も沢山あると思う。

志田正二さんは二三の例外があるとして、

“ 後述する如く一般に層間距離は最初狭く次第に離れてくるものであるが、まれに例外がある。例えばHgCl2を含むゲル中にKJを拡散せしめるときは、試験管の底に行くに従って層間距離は狭くなってくる。一見奇異に思われるこの現象は過剰のKJの存在においてはKJ・HgJ2 なる可溶性の複塩が生ずるためとして説明されている。”

を挙げている。

KI(沃化カリ)をKJと書くところが如何にも古めかしいが、それはさておき、これは珍しいものだろうか。

実は、当方、ほとんどの物質で出来るというから、カラフルなものが良かろうということで二三の物質で試してみたのだが、今のところうまくいっていない。

うまくいっていないものを載せるのもどうかと思うが、でも載せる。

PB144879合成縮.jpg


上の写真は縞模様があるといっても、くっきりしていないので、かなり強引に画像処理を掛けている。

左から二つ目もはじめは淡い縞があったのだが消えてしまった。

右側2本は同じもので、色が濃く、肉眼では見えるものの写真に撮ると分からなくなるため、更に画像処理を掛けている。

これらは次第に層間距離が縮まったり、等間隔だったり、バーコードのようにランダムだったりしている。

うまくいった実例である、リン酸カルシウム系でもリン酸2Naの濃度が高かったり薄かったりするとこういったことに近い現象が起きていた。

インターネットで実験例を調べると、たいがい類似のことをやっている。

ただ、失敗例は載せていないが。

意外と幅が狭い。

志田正二先生は

“沈殿物質:ほとんど全ての難溶性物質が条件次第でこの現象を呈すると言われている。”

と言っているのだが。

まだ、条件の要素がつかめていないのか。精進だな。

リーゼガング現象の理論 [リーゼガング現象]

昨日書いたように、リーゼガング現象の理論というものは完全に確立はされていないようなのである。

ただ、古くから多くの人が興味を持って研究してきた故、一定の理論は出来ている。

このことについてインターネットで検索してみると、志田正二という人が1936年に書いた総説のような記事があった。

志田正二という人は後に化学辞典も書いていて、当方もその古本を買ってしまった。

もっと最近の論文もあるとは思うが、当方の身分ではそれ以上、調査できないのでそれを大いに参考にさせてもらうことにした。

それによれば、二三の例外を除けば、環の出来る位置や時間には下記のような一定の法則がある。

抜粋

 ゲルと溶液の界面を原点とし、これに垂直にゲルの内部の方向にX軸を取り、沈殿の生じた場所をXn(nは層の番号)、XnとXn+1との間隔⊿Xnとすれば
⊿Xn/Xn=一定
(1)
⊿Xn+1/⊿Xn=一定
又沈殿の生じた時間tに関しても同様に
⊿tn+1 /⊿tn =一定 (2)

換言すれば“沈殿層間の距離は幾何級数的に増加していく”のである。(1)の関係は又色々の形で表される。
log Xn=nK  (3)

又時間tとXとの間には
X2/t=一定 (4)
という重要な関係が知られている。

以上の法則性は実験的に求められたものだが、後に昨日少し触れたような理論から求められる値と良く一致したという。

さて、以前の同じテーマの記事にも載せたが、またまた計測結果を載せる。

PB144894計測比較縮.jpg


層番号ははじめの頃は不明確なので、明瞭な層から数え始め、その番号をn番とする。

ゼラチンゲル 
計測する層の位置は、おおむね層の中心とする。

層番号   X(mm)  ⊿X(mm)  ⊿Xk+1/⊿Xk  ⊿X/X
n       12.5     4.0      1.5        0.32
n+1     16.5     6.0      1.1        0.36
n+2     22.5     6.5      1.4        0.29
n+3     29.0     9.0      1.2        0.31
n+4     38.0     11.0     1.2        0.29
n+5     49.0     13.0     1.0        0.27
n+6     62.0     13.0      ー        0.21
n+7     75.0      -      -         -


寒天ゲル
層番号  X(mm)  ⊿X(mm)  ⊿Xk+1/⊿Xk   ⊿X/X
n       33.0    4.0     0.8           0.12
n+1     37.0    3.0     1.7           0.08
n+2     40.0    5.0     1.4           0.13
n+3     45.0    7.0     1.0           0.16
n+4     52.0    7.0     1.0           0.13
n+5     59.0    7.0     1.9           0.12
n+6     66.0   13.0     0.8           0.20
n+7     79.0   11.0      -            0.14
n+8     90.0     -      -             -


⊿Xk+1/⊿Xk が一定かというとやや微妙だが、層の位置が曖昧だということを考慮すると大きく外れているとはいえない。

⊿X/X についてはゼラチンゲルのはじめの頃はほぼ一定といえるだろう。

最後になると、溶液物質の濃度が希薄になるせいかやや外れかかっている。

寒天ゲルに関してはやや不安定。

寒天ゲルでは層間にも結晶があり、やや法則性に障害があったのだろうか。

環のできる時間も理論化されているが、これは正確な時間がとれなかったので今後なんとかやってみることにしたい。

リーゼガング現象 ーその1の4ー [リーゼガング現象]

昨日載せたゼラチンゲルのものと同時に、寒天ゲルも再度行った。

使った物質は同じである。

PA26~PB08(寒天)縮.jpg

PB144897寒天21日縮.jpg


硅酸ゲルもやったのだが、昨日も書いたように、これは失敗した。

ゼラチンゲルのものとの違いは、リン酸カルシウムの結晶が微粒子状に見えることである。

環の出来るスピードはそれほど変わらない。

何がどうしてこのようになるのかは当方には分からない。

結晶する物質と、ゲルの媒質との間で何らかの反応があるのかもしれない。

そもそもリーゼガング現象というのは、19世紀末にリーゼガングという人に発見された現象なのだが、今もってその現象の理論的解明は完成していないとされる。

「原理」を簡単に説明しているものはある。例えば

ゲル中であるため、外部電解質(B)の拡散速度が非常にゆっくりである。まず、境界付近で外部電解質(B)の金属イオンはゲル中に溶け込んでいる内部電解質(A)の陰イオンを引き寄せて沈殿を生じる。そして、外部電解質(B)の金属イオンはそのまま下部へ拡散していくが、先程の沈殿で内部電解質(A)の陰イオンが上部へ移動してしまったため、その間は沈殿を生じない。このようなことが繰り返されて周期的沈殿が形成されると考えられる。

というのがあるHPにあったが、BがAの陰イオンを「引き寄せる」などという説明は非現実的だろう。

水の中には、極性をもった水分子を始め、無数のイオンが存在する。

はるか彼方の特定の陰イオンを引き寄せることは起こりえないだろう。

Aの移動が原因なのは確実だが、移動の要因は反応によって濃度勾配が生じた事によるものだろう。

とすれば、勾配は連続するわけだから、沈殿も連続してしかるべきではないかということになる。

そこで、色々な「理論」が出されている。

一番有力なものは、「過飽和」を考慮したものだ。

AとBが反応して出来る水に難溶な物質Cはその飽和点を過ぎてもある濃度に至るまで結晶(沈殿)しない。

しかし、そこに既に結晶や結晶の核が存在すれば、容易に結晶する。

その不連続性が飛び飛びの縞模様を描く原因というわけだ。

先のあるHPの説明と重ね合わせれば、はじめの層でAとBが反応し、Cが沈殿すると同時に、Aの濃度が減少し、濃度勾配が起こる。

Bは更に下部に移動するが、そこのAの濃度は低いのでCは過飽和ではあるが沈殿しない。

生じたCは上下に拡散し、上の層では既に結晶があるので、結晶化する、
下の層では充分な過飽和濃度に至った点で結晶化が始まる。

これを拡散方程式と結びつけて理論化するというわけだ。

「理論」は難解でもないかもしれないが、少なくとも当方には理解が困難だ。

ただ、昨日載せたゼラチンゲルでの沈殿の帯の形成過程を見ると、上から次第に形成されるのではなく、帯全体がだんだん濃くなっていくように見える。

それは「過飽和」状態から核を基点にした結晶の形成を表しているように見える。

ただ、この説でも説明できない現象があるようで、未だ未確立ということになっている。




化学実験事始め リーゼガング環( Liesegang ling) その1の2 [リーゼガング現象]

今日は台風崩れの低気圧が山陰沖を通過するとのことだが、今のところさしたることはない。

朝がようやくまともになった。
最低気温が25度以上だったら熱帯夜というけれど、連日熱帯夜ではニュースにもならない状態だった。

これから少し疲れがとれるといいが。


リーゼガング環は周期性を持っている。

ゲル層の上端からリングまでの距離については
Ln+1/Ln = ρ (ρは一定)
(Ln+1 、Ln  :ゲル層の上端からそれぞれn番目、n+1番目のリングまでの距離)

ということらしい。
要するに等比級数である。

その他に
各環が形成され始める時間、各環の厚みに規則性があるという。

なかなか難しい。
このブログは研究ではなく、きれいな形状を見るのが目的なので必要以上には深入りしない。

ゲル層のリン酸2ナトリウムの濃度が0.01Mの場合。

P8253600CaHPO4目盛り・縮.jpg


試験管に貼り付けた定規の目盛りが 25mm の位置にある環をn番目とする。
ゲル層の上端は 5mm だから、
ゲル層上端からn番目の環までの距離 Ln は 20.0 mm
これから
Ln+1/Ln  ≒ 21.5/20.0 ≒ 1.08
同様に
  Ln+2/Ln+1 ≒ 1.09
Ln+3/Ln+2 ≒ 1.09
Ln+4/Ln+3 ≒ 1.10
Ln+5/Ln+4 ≒ 1.11
Ln+6/Ln+5 ≒ 1.10
Ln+7/Ln+6 ≒ 1.09
Ln+8/Ln+7 ≒ 1.11
Ln+9/Ln+8 ≒ 1.10

このように右辺の数値は 約 1.1 でほぼ一定している。

これから逆算して、その下の環の位置を計算すると。
目盛り位置(mm))
n+10   54.5
n+11   59.5
n+12   64.9
n+13   70.9
n+14   77.5
n+15   84.8

n+15番目になると曖昧だが、それまではその位置に微結晶が散乱している。

ゲル層のリン酸2ナトリウムの濃度が0.0025Mの場合。

P8263602CaHPO4目盛り.jpg


計算結果は省くが、0.01Mの時のように整然としていない。
環の濃さもまちまちだし、間隔もばらついている。
まるでバーコードのようだ。

溶液濃度が薄いため、最初から結晶が大きく、数が少ない傾向となり、偶然性の要素が大きくなったのか。

要因は色々あるにせよ、面白い。
偶然のように見えて、複雑ではあるがやはり必然を感じる。


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化学実験事始め リーゼガング環( Liesegang ling) その1 [リーゼガング現象]

リーゼガング現象というのは、自分なりに簡単に言うと

ある物質Aを溶かし込んだゲル(ゼリーや羊羹などの状態-寒天、ゼラチン、水ガラスなどで作る)を試験管の中で作り、その上にAと反応する物質Bの水溶液を乗せると、Bがゲル中を拡散してAと反応し、物質Cができる。
物質Cが難溶性の場合、その部分で結晶化(沈殿)するが、その形が縞模様になる現象である。

というようなことになる。
厳密にいうと不正確という人もあるかもしれないが、勘弁してもらいたい。

試験管の場合、ゲル上端からしばらくした距離で縞模様ができ、縞と縞の間隔が次第に広がる。
ゲル混合物をシャーレかなんかに入れて、その中心にB溶液を垂らせば、同心円状の縞模様ができる。

なぜ、縞模様ができるのか。
物質Aは、最初均一なのだから、均一か、次第に薄くなるのが自然なのではないか。

リーゼガング環は素人でも作れるし、その飛び飛びになる造形が何だか自然界の摂理に反するような、反しないような点がとても面白い。

リーゼガング環で有名なのは元祖リーゼガングが発見したクロム酸銀であろう。
それも追々やるとして、まず手始めに炭酸カルシウム、炭酸バリウムやリン酸カルシウムを試すことにした。

リン酸カルシウムに関しては「本」※に載っているので、ゲルの濃度やリン酸ナトリウム、塩化カルシウムの濃度を動かすだけで、まあまあ再現できた。
※「結晶成長とゲル法」ヘニッシュ  中田一郎・中田公子訳

P8253576リーゼCaHPO4_1縮.jpg

P8253577リーゼNa2HPO4_0_01M縮.jpg

P8253578リーゼNa2HPO4_0_0024M縮.jpg


炭酸カルシウム、炭酸バリウムについてはまだきれいなリング形成が得られていない。

ゲルについては、調理用の寒天を使っているが、そのほかにゼラチンも用意している。
いずれもスーパーで購入。

更にメタ珪酸ナトリウムを中和した珪酸ゲルも。
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